第7回 決戦の謎に迫る
「くそっ! トウカイテイオーとビワハヤヒデに抜かれた!」
「どうしても途中でその二頭に差されるな…、実力の違いを見せつけられる」
「”BCレジェンド”…」
「強豪馬が出走しているだけあって、今BCに登録している馬じゃ、勝てそうにない」
「どうすれば勝てるようになるんだろう。調査の必要がありそうだ」
「素子、今大丈夫か?」
「……何か用?もう仕事終わりの時間だけれど…」
「相談があるんだ。今、『決戦!トウカイテイオー』が開催されているだろう?」
「そうだね」
「勝てなくて困っている。どうすれば勝てるようになるのか、助言をくれないか」
「ふむ。BCレジェンドは”通常のレースとは桁違いに馬が強い”。勝つのは難しいだろう」
「いいよ、それじゃあ、少しだけレクチャーしよう」
必要な能力
「さっきも言ったとおり、BCレジェンドは桁違いに強い馬が登場する。並大抵の馬じゃ、勝つのは難しい」
「勝つためには、”相応に強い馬を生産する必要がある”だろうね」
「その『相応に強い馬っていうのはどのくらいの能力』なんだ?」
「そうだね……かずまがBCレジェンドに出走させた競走馬は、どれくらいの能力を持っている?」
「確か、スピードB、スタミナBくらいの馬だったよ」
「バランスの取れた馬だね。真壁からはどんなコメントをもらった?」
「”GIも狙える”、だったかな」
「ふむ、なかなかの能力を持っていることは間違いないけれど、勝つには厳しいかもしれない」
「現に勝てていないからな…」
「スピードB、スタミナBで足りない、ってことは、やっぱりA評価が必要なのか?」
「理想を言えばそうだ。特に、スピードAが好ましい。それくらいの評価があれば、BCレジェンドに出てくる相手に勝てる確率は大きく上がるね」
「ただ、”いくつかのタイトルも狙える”や”海外も視野に”と、真壁からコメントをもらっているような馬ならば、スピードBでも勝てるチャンスは十分にある」
「『真壁からの評価が高く、スピードB以上の馬』であれば、勝てるチャンスはあるってことか」
「そういうことになるね」
「もちろん、スタミナも大事なことは忘れないように。特にかずまが挑んだトウカイテイオーと戦うのは”有馬記念の2500m”だ」
「ああ、距離は長めだ。スタミナBくらいはほしいところだな」
「そういうことだ」
才能
「さて、次に押さえておきたいところは『才能』だな。普段から気にしているか?」
「”特別調教で開花する才能”の事か?”内剛””外柔”は汎用性も高くて、よく調教をお願いしているよ」
「気にしているようだね。安心したよ。才能の中には、”BCレジェンドでも効果を発揮する才能”もある。内剛、外柔もその中の一つだ」
「才能を使うのは、BCレジェンドで勝つための効果的な手段だ。調教して開花させておくのがいいだろう」
「内剛と外柔以外の効果的な才能っていうのは、なにかあるのか?」
「そうだな。例えば、調教してくれる調教師と知り合いなら”人馬一体”や”以心伝心”といった『騎手との相性が良い才能』はぜひ開花させるべきだ。うまく末脚を発揮してくれるだろう」
「ほかにも、”征安”や”宝冠”といった『特定のレースでのみ発揮する才能』もオススメするよ。今回のBCレジェンドの舞台は有馬記念だから、”名声”という才能が有効だね」
「ほかのBCレジェンドでも、レースに合う才能があったら、開花させると良い。伸び脚が良くなったり、スタミナが持ったりと、有利に働くからね」
「なるほど…、レースに合わせる事も大事なのか」
「その他のオススメとしては…、BCレジェンドでもらえる報酬に、特別調教師の名刺があるだろう」
「あぁ、二階堂調教師のだな。確か…、トウカイテイオーの時は”重圧”だったか」
「そう。BCレジェンドでもらえる才能は、そのBCレジェンドで特に効果的だ。例え負けてしまっても、記念褒賞で才能のレベルが上がる事があるから、勝ちに近づくことはできる。1回だけで結果を出そうとしなくてもいい」
「わかった」
非凡な才能
「才能も上回る、最も勝利に貢献する能力は『非凡な才能』だろう」
「非凡な才能って、かなり強力だけど、発揮条件が難しいんだよな…」
「そうだね。どのBCレジェンドでも発揮できる便利な非凡な才能は、ない」
「しかし、特定のBCレジェンドにおいて、有効になる非凡な才能というのは、必ず存在する」
「………あ、もしかして、”スタリオンTVで紹介していた種牡馬の非凡な才能”か?」
「その通りだ。スタリオンTVではBCレジェンドの開催日付近で、”レジェンド種牡馬抽選会”を特集している。そこでは近日開催のBCレジェンドで有効となる非凡な才能を持っている種牡馬が紹介されていることがある」
「確か…、決戦トウカイテイオーだと”メジロマックイーン1992″の”封殺”だったよな。そんなにも効果的なのか」
「私も直接見たわけではないけれど、一度だけ、映像で見たことがある。先行していた参加者の馬をトウカイテイオーが差し切ろうとしたところに封殺が発揮されて、トウカイテイオーがいっきに失速していた」
「あの効果は凄まじい。”封殺を持った馬ならば、もしかしたら競走能力がそこまで高くなくても勝てるかもしれない”と感じた。それこそ、今のかずまの馬の評価くらいあれば」
「……そんなに強力なのか」
「あくまでも私の感想だけど。でも、それくらい強力な効果だった」
「そして、トウカイテイオー以外のBCレジェンドにも同様に、有効な才能は存在するようだよ」
「もし、レジェンド種牡馬抽選会で運よく種付け権が手に入ったら、使ってみるといいかもね」
騎手の選択
「さて、最後は『騎手』の選択だ」
「騎手に関しては、前に和泉さんに聞いたけど…、何かあるのか?」
「あぁ。一つだけ、”注意したい点”がある」
「なんだ?」
「BCレジェンドに登場している騎手は、基本的には”BCレジェンドの競走馬に優先して騎乗する”ということだ」
「優先して騎乗する……。え、じゃあもしかしてBC登録馬にその騎手が乗っていた場合って…」
「察しの通りだ。ほぼ確実に”乗り代わりが発生する”」
「……BCレジェンドに挑戦する場合は、その騎手を避けてBC登録する必要があるってことか」
「ああ。勝ちを狙うなら当然そうするべきだ。乗り代わりによる影響は、かずまも知っているだろう?」
「BCレジェンド開催の告知文に、今回のレースがどんなものか記載されているはずだ。それを参考に、乗り代わりが発生しない騎手を選ぶといいよ」
仲間同士での協力
「ただいま」
「おかえりかずま!遅かったね」
「BCレジェンドでトウカイテイオーに勝てないから、素子に相談していたんだよ」
「そっか。やっぱりBCレジェンドは手強いね」
「……ん?そういえばかずま、BCレジェンドは一人で出ているの?」
「そうだけど…」
「じゃあ、次からは他の馬主さんと一緒に出走しようよ」
「え、どうしてだ?」
「”BCレジェンドは他の馬主の馬と一緒に出走することができる”。もちろんその人たちの馬もライバルだけど、より強い馬を相手に、協力関係を作れるよ」
「協力関係?」
「うん。残念なことに、今の私たちにはトウカイテイオーに能力だけで対抗できる競走馬はいない。でも、他の馬主の競走馬が有力な才能を持っていた場合……」
「……!そうか、その人たちの馬が才能を発揮するのか!」
「そういうこと!もしかしたら、レジェンド種牡馬抽選会で紹介されていた非凡な才能を持っている馬で一緒に走ってくれるかもしれない。他の馬主さんと一緒に走ることは、勝率を上げることに繋がるよ」
「なるほど…」
「それとね、他にも”一緒に走るといいことがある”んだよ」
「いいこと?」
「BCレジェンドを走ると、記念褒賞がもらえることがあるよね?」
「BCのファンからのお手紙とかも多いけど、たまにな。……もしかして”褒賞が手に入りやすくなる”のか!?」
「正解!ボーナスが発生して、記念褒賞がもらえることが多くなるらしいよ!もともと記念褒賞がもらえる場合でも、その褒賞のランクが良くなったりするんだって」
「誰かと一緒に出走すると、より勝利が近くなるってことか。一人で出走するのはもったいないな」
「知り合いの馬主を誘って、挑戦していこう」
「そうだね!」
「対策はわかった。次こそBCレジェンドで勝ちたいな」
「強い馬を生産して、才能を開花させて、友達と一緒に出場する。次はきっと勝てるよ!」
「あぁ、次は絶対に獲ってやる…!」
次回予告
「うーん…、出遅れもこれで二回目か…。なぜだ…?」
「それだけじゃない。今回のレースは、どうも走り切れてなかった感じがするな。気持ちよく走れてなかったというか…」
「……この不調には何か原因があるのか?調教師に聞いてみるか」